AI開発における言語の選び方と基礎知識

2025.11.18

AIアプリ開発では様々なプログラム言語を使用でき、AIは大半の言語を適切に扱えます。

ただし、Python、JavaScript、R言語、C++など、各言語には異なる強みがあり、目的によって適切に選定することは人間が介入するべき重要な要素です。

得意分野、開発効率、ライブラリ(再利用可能なプログラム部品集)の充実度、web上の情報量など、言語によって特徴が異なります。

本記事では、アプリケーションの種類や開発目的に応じた言語選択の考え方や、主要言語の特性について解説します。

AI開発で使われる主要言語

AI開発では様々な言語が使用されますが、それぞれに異なる強みや得意分野が存在します。
主要な言語を紹介します。

AI開発の標準言語と言われるPython

機械学習と深層学習(複雑なパターンを学習するAI技術)の分野で最も広く使用されている言語です。

PythonはNumPy(数値計算ライブラリ)やpandas(データ分析ライブラリ)が効率的で、大量データを扱う機械学習タスク(AI学習の作業単位)に高い親和性があります。

主要な深層学習フレームワーク(AIモデルを構築するための基盤)は基本的にPythonに対応しています。サーバーサイドで動作するAPIとしても使用されるケースが多くあり、汎用性の高さも魅力と言えるでしょう。

統計や可視化に特化したR言語

R言語は統計解析と可視化(データを図表化すること)を得意分野としており、研究機関や統計分野でのAI開発に適しています。

ggplot2(グラフ作成ライブラリ)やshiny(対話型Webアプリ作成ツール)などの可視化パッケージが強力です。

ブラウザ・サーバーともに動作できるJavaScript

JavaScriptはTensorFlow.jsにより、Web開発との親和性が高いAI実装が可能です。

ブラウザ上で直接AIモデルを実行でき、リアルタイム推論が実現し、ユーザビリティ(使いやすさ)やレスポンス速度の面で優位性があります。

ブラウザ上での処理は、扱うデータやコードが利用者から見えるため、セキュリティ面は特に慎重に実装することが重要です。

JavaScriptをサーバーサイドで動作させられるNode.jsでは、サーバーサイドでTensorFlow.jsを使用することで、より重いモデルや機密データを安全に処理でき、ブラウザの制約を受けない高度なAI処理が可能です。

C++、Julia、JavaのAI開発での活用場面

C++は推論処理の高速化や組込みAIで選択されやすい言語です。

自動運転システムや産業用ロボットの画像認識など、リアルタイム性(即座に反応する性能)が求められる場面では、C++とONNX Runtime(AIモデルを高速実行するツール)の組み合わせが広く採用されています。

Julia(科学計算特化型言語)は、Pythonのような書きやすさを保ちながら、C言語に近い高速実行を実現しており、大規模な数値計算を伴うAI研究で注目されています。

Javaは大規模なエンタープライズシステム(企業の基幹業務システム)でのAI統合に使われ、Apache Spark(大規模データ処理基盤)やDeeplearning4j(Java用深層学習ライブラリ)などが活用されています。

それぞれの言語が持つ特性を理解することで、プロジェクトの要件に最適な言語選択が可能になります。

AI開発におけるシステム設計と言語選定

AIを活用したシステム開発では、アプリケーションレベルの実装だけでなく、システム全体のアーキテクチャ設計が重要です。

スケーラビリティ(拡張性)、可用性(システムの稼働率)、保守性を考慮したシステム設計において、言語選択は基盤技術の選定と密接に関わります。

マイクロサービスアーキテクチャにおける言語選定

マイクロサービス(機能ごとに分割された独立したサービス群)でAIシステムを構築する場合、各サービスに最適な言語を選択できる柔軟性があります。

AI推論サービスはPython、認証・認可サービスはGo言語(並行処理に強いGoogle開発の言語)、データ集約サービスはNode.jsといった組み合わせが一般的です。

コンテナ技術(Docker等でアプリを独立した環境で動かす仕組み)を使用することで、異なる言語で構築されたサービス間の連携が容易になります。

ただし、複数言語を採用する場合は、開発チームのスキルセットやコードレビュー体制、デプロイパイプライン(自動デプロイの仕組み)の整備が必要です。

AI開発におけるデータベース連携と言語の親和性

大量のデータへアクセスして分析・活用するAIシステムは多く開発されており、この場合データベースとの効率的な連携が不可欠です。

特定のデータベース操作に特化したMCP(モデルコンテキストプロトコル:AIに特定の機能や外部リソースを使用させる仕組み)も各種存在しており、使用するデータベースとAIの親和性を意識すると良いでしょう。

RAGデータベース(意味的に類似する情報を検索できるデータベース)を使用する場合、データやクエリのベクトル化も考慮します。

システム全体のアーキテクチャを見据えた言語選定により、拡張性と保守性の高いAIシステムを構築できます。

複数言語を組み合わせるAI開発

アプリケーションを開発する場合、複数の言語を適材適所で組み合わせることが一般的です。

フロントエンド(ユーザーが操作する部分)用の実装と、バックエンド(リクエストを受け付けて処理をする部分)用の実装で使用できる言語や適した言語が異なるためです。

このセクションではどのような言語の組み合わせが行われているかを紹介します。

PythonとJavaScriptによるAI開発

バックエンド(サーバー側の処理)でPython、フロントエンド(ユーザーが操作する画面側)でJavaScriptを使用するパターンです。

Pythonはサーバー側でFlask(軽量なWebフレームワーク)やFast API(高速なAPI構築フレームワーク)を使用し、リクエストの受付やAI処理、AI APIへのリクエスト送信などを実行します。

JavaScriptはReact(UIを構築するライブラリ)やVue.js(シンプルなUIフレームワーク)でユーザーインターフェースを構築し、REST API(データをやり取りする標準的な仕組み)を通じてバックエンドのPythonと通信します。

この分離により、ユーザーは快適なUIで操作を行い、バックエンドでは複雑なロジックを安定して動作させることができます。

データパイプラインにおける多言語連携

「SNS投稿データを収集し、感情分析を行い、ダッシュボードで可視化する」機能を例に考えてみましょう。

データ収集・前処理では、PythonのBeautiful SoupやPandasでSNSデータを取得・整形します。
AI推論では、感情分析モデルを用いて各投稿のポジティブ・ネガティブを判定します。
可視化では、JavaScriptのD3.jsやPlotlyでブラウザ上の動的ダッシュボードを構築します。

このように各フェーズで最適な言語を選択することで、効率的で高性能なパイプラインを実現できます。

複数の言語を適切に組み合わせることで、各言語の強みを最大限に活かしたAI開発が実現できます。

AI開発における言語選択と実践への第一歩

AI開発における言語選択は、プロジェクトの成否を左右する重要な決断です。

Pythonは機械学習の標準言語として圧倒的な優位性を持ち、統計解析ならR言語、Web開発ならJavaScript、高速処理ならC++と、用途に応じた最適な選択肢が存在します。

複数言語を組み合わせたアーキテクチャ設計も、現代のAI開発では一般的なアプローチです。

弊社では、DX推進とAI技術分野においてもお客様の目的に最適な言語選択から実装まで、豊富な開発実績をもとにサポートいたします。

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