PythonでAI開発を始めるには?選ばれる理由と代表的なライブラリ
AI開発の世界では、使用するプログラミング言語の選択が成功を大きく左右します。
その中でもPythonが広く採用されている理由は、単なる流行ではなく、技術的な必然性にあります。
本記事では、以下の2つの領域を対象にしています。
・AIモデル開発(機械学習・深層学習モデルの構築)
Pythonと各種ライブラリを用いてモデルを学習するプロセス。
・AIを活用したシステム開発(AI組み込み開発)
学習したモデルを活用した画像認識・自然言語処理・予測分析システムなどの構築。
PythonがなぜAI開発に有効な選択肢となるのか、そして実際にAI開発を始める際に活用される代表的なライブラリやシステムの種類について解説します。


Pythonは、AI開発の業界標準言語として世界中で採用されています。
その理由は、技術的な強みだけでなく、開発効率や学習のしやすさにあります。
豊富なライブラリエコシステムの特徴
Pythonの強みは、AI開発に特化した豊富なライブラリです。
TensorFlow(機械学習ライブラリ)やPyTorch(機械学習ライブラリ)などの機械学習フレームワーク、NumPy(数値計算ライブラリ)やPandas(データ解析ライブラリ)といったデータ処理ライブラリ、Matplotlib(グラフ作成ライブラリ)などの可視化ツールが利用できます。
これらは多くのユーザーが様々な環境で使用しており、細かなバグや問題も精力的に修正されています。
成熟したライブラリを選定することで、予測できないトラブルが本番環境で発生するリスクを抑えることが可能です。

なお、ビジネス要件に合わせて最適なライブラリを選定するには、実運用を見据えた技術判断が欠かせません。
TensorFlow や PyTorch のような深層学習フレームワークは、構成を判断する際に専門知識を要する場合もあります。
ライブラリは豊富ですが、組み合わせやバージョン管理には専門知識が必要で、ここでつまずくプロジェクトも多くあります。CLINKSでは、そうした課題を解決・サポートが可能です。
CLINKSは、生成AIパスポート取得者1,000人以上在籍しており、600社以上のシステム開発・運用実績があります。AIシステム開発にご不安がある場合は、是非ご相談ください。
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シンプルで読み書きしやすい文法
Pythonは可読性が高く直感的な文法を使用し、初心者から上級者まで理解しやすい言語です。
AI開発では、複雑な数学的処理や機械学習アルゴリズムを実装する場面も多くありますが、Pythonなら言語仕様の複雑さに悩まず、ビジネスロジックに集中しやすいと言えるでしょう。
コードの読みやすさはチーム開発の効率の向上にも寄与します。
このシンプルさにより、急速に進化するAI分野で素早いプロトタイピングや改善が可能です。
強力なコミュニティサポート
Pythonは世界中に大規模なコミュニティを持ちます。
Stack Overflow、GitHub、技術ブログなど、参考にできるリソースが豊富です。
問題に直面した際、同じ課題に取り組んだ開発者の知見を参考にできます。
また、オープンソースプロジェクトへの参加を通じて、実践的なスキルを磨く機会もあります。
充実したライブラリ、シンプルな文法、支援的なコミュニティによって、AI開発に取り組みやすい環境が整っています。


PythonでAI開発をするうえで、適切なライブラリ選びは重要です。
AI開発の各段階でよく使われる代表的なライブラリを、大きく3つに分けて解説します。
機械学習フレームワークの種類
機械学習フレームワークは、AI開発の中核となるツールです。
代表的なフレームワークとしてTensorFlow、PyTorch、Kerasなどがあります。
TensorFlowはプロダクション環境での安定性が高く、大規模なシステムに適しています。
一方、PyTorchは研究段階やプロトタイピングに適した柔軟性を備えており、多くの研究者に支持されています。
Kerasは深層学習への入門に使いやすいシンプルな設計が特徴です。
プロジェクトの特性に応じて選択することが大切です。
データ処理ライブラリの役割
多くのAI開発では、大量のデータを処理・分析することになります。
NumPyは高速な数値計算を実現し、多次元配列を効率的に操作できます。
Pandasはテーブル形式でデータを扱え、前処理やクリーニングに広く使われています。
適切なライブラリを活用することで手作業を削減し、開発効率を向上できます。
可視化ツールの活用方法
データ分析の成果を理解しやすくするには、グラフ作成が効果的です。
Matplotlibは基本的なグラフ作成に適し、Seabornは統計的な可視化に強みがあります。
可視化によりデータの傾向や異常値を発見でき、モデル改善につながります。
これらを組み合わせることで、データ収集から分析、モデル構築、可視化までを備えた基本的なAIシステムを構築できます。

Pythonで構築できるAIシステムは多岐にわたり、目的に応じて必要な技術が異なります。
主要な三つの種類を紹介します。
画像認識システム
OpenCVは画像処理の標準ライブラリとして、基本的な画像操作や特徴抽出を担います。
高度な物体検出にはYOLOなどのディープラーニングモデルが使用されます。
製造業の不良品検出、小売業の顧客分析、監視システムなどに応用されています。
自然言語処理
NLTKやspaCyは基礎的なテキスト分析から応用的な自然言語処理まで幅広く対応できます。
TransformersはBERTなどの最新モデルを扱え、高度な文章理解を実現します。
感情分析やテキスト分類、機械翻訳など多くのビジネス領域で活用されています。
予測分析モデル
Scikit-learnは分類、回帰、クラスタリングなど多様な予測分析をサポートする汎用ライブラリです。
金融、製造、医療など幅広い分野で利用されています。
これらのAIシステムはビジネス課題の解決に役立ち、目的に応じた技術選定とその組み合わせによって、多様なシステムを構築することが可能です。
AI開発では、言語の特性だけでなく、エコシステムやコミュニティなども含めた総合的な判断が求められます。
Pythonは活発なコミュニティと豊富なライブラリを備えており、AI開発の標準的な選択です。
しかし、実運用を見据えたAI開発では、
・要件整理
・モデル選定
・データ前処理・精度改善
・運用ワークフローの構築
といった高度な技術判断が必要になります。
CLINKSでは、要件整理から設計・開発・運用までを一気通貫で支援する「AI開発サポートサービス」を展開しています。
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