AI開発のやり方を3ステップで解説!押さえておきたい基本とは?

2025.12.12

近年、既存のAIサービスを活用することで、専門的な機械学習の知識がなくても、実用的なAI機能を実装できる環境が整ってきました。

本記事では、以下の領域を対象としています。

・AIを活用したシステム開発(AI導入・活用プロジェクト)
業務課題の整理から、データ準備、AIモデルの活用、運用・改善までの進め方を紹介します。

「何が必要なのか」「何をすればよいのか」「失敗を避けるには」という3つのポイントを中心に、AI開発の全体像をシンプルに解説します。

AI開発に求められる要素

AI開発に取り組む前に、どのような要素が必要になってくるのかを理解することが大切です。
ここでは、AI開発に取り組むうえで重要な要素を紹介します。

高品質なデータ

学習や分析に使うデータの整理・整形がされていないと、AIが正しくデータを理解できなくなります。

AI開発において、データ準備は開発プロセス内で多くのリソースを費やしてでも入念に実施すべきフェーズです。

計算能力

AI学習には大量の計算処理が求められるため、GPU(高速計算チップ)などの専用ハードウェアが必要です。

実際の開発現場では、ローカル環境に高性能なハードウェアを用意するのではなく、クラウド上のAIを利用できるプラットフォームを活用するケースも多くあります。

十分な処理性能を用意できない場合は、クラウドで提供されるAIプラットフォームやAPIサービスの活用を検討しましょう。

技術を理解できる人材

データサイエンティスト(データ分析専門家)やエンジニアといったスキルを持った人材が必要です。
闇雲にデータの用意やAIへの指示を繰り返しても、期待する成果を得ることは難しいのが実情です。

イチからAI開発をするためには多くのリソースや準備が必要になります。

これらの準備要素を社内だけで揃えるのが難しい場合、外部の専門組織と連携しながら既存データの棚卸しや要件整理を進めることで、準備段階を短縮しつつ質を確保できます。

AI開発を実践するステップ

AI開発を実践するための段階的なステップを紹介します。
各段階で必要な作業や判断を明確にすることで、プロジェクト全体がスムーズに進みます。

ステップ1:構想・準備段階

課題と目的を明確にし、実現可能性を評価しながら計画を立てる段階です。

「何を達成したいのか」から出発し、その課題がAIに適しているかを判断します。

例えば「製造ラインの不良品を削減したい」という課題なら、画像認識AIが適用しやすいケースです。

実際にAIを動作させるためにどのようなデータが必要か?データ収集はどの程度の時間や工数がかかるか?といった実際の機能に必要となる要素も合わせて調査すると、後続の作業がスムーズです。

ステップ2:データ・開発段階

データ収集と前処理(データの整備)を行い、実際にAIモデル(学習済みAI)を構築する段階です。

データ収集では、目的に合った形式でデータを集めることが重要です。
収集したデータの多くは、そのままでは学習に使えません。

欠損値(抜けた箇所)の補完、ノイズ(不要な情報)の除去、フォーマット(形式)の統一などの前処理が求められます。
収集したデータはTensorFlowやPyTorchなどのフレームワークを用いて処理し、データから判断基準を学習させます。

初心者の場合、既存の学習済みモデルを活用するのも良いでしょう。
既に大量のデータで学習されたモデルを微調整することで、ゼロから構築するより短時間で目的に特化したAIを構築できます。

ステップ3:運用・改善段階

開発したAIシステムを実際に動作させ、継続的に精度を改善していく段階です。

まずは開発・検証環境でテストを実施し、AIが実際の業務で期待通りの性能を発揮するかを確認してから、本番環境で動作させると、ビジネスへの影響を抑えることができます。

運用開始後はシステムの動作を継続的に監視し、AIの精度やシステム自体が適切に動作しているかをチェックしましょう。

業務要件の変化に応じてAIシステムを改善していくことも求められます。
適切なステップでAI開発を進めることで、手戻りや予想外のアクシデントを防ぐことができます。

AI開発を成功させるやり方と注意したいポイント

AI開発プロジェクトをスムーズに進めるためには、成功と失敗のポイントを理解しておくことが重要です。

成功につながる要素

「何を解決したいのか」「成功の基準は何か」を具体的に定義することで、プロジェクトの方向性が明確になります。

データ収集に時間をかけて質の高いデータセットを用意することで、AIの応答精度が高まります。

はじめから大規模なシステム全体を開発するのではなく、コア機能から徐々に規模を拡大することで、リスクを抑えながら実用化に近づけます。

AI導入は単なる技術導入ではなく、業務プロセスの変革を伴うことも多くあります。
企業でAI開発を進めるのであれば、決定権を持つ立場の人物の理解と支援も重要です。

AI運用後も定期的に性能を監視し、改善を続けられる運用体制を構築しておくことで、長期的に改善サイクルを回せます。

注意したいポイント

「とにかくAIで便利にしたい」といった漠然とした目的のまま進めると、具体的な成果に結びつかず、リソースだけ消費してしまい成果が出にくくなります。

十分な量と質のデータがなければAIが適切に学習することができず、時には誤った情報を知識として持ってしまいます。
実装上は正しく見えるのに期待通りの応答を得られない、といったトラブルを防止することが大切です。

AIシステムを開発し、実際のビジネスに役立てるためには技術視点とビジネス視点両方に精通した人材が必要です。
まずは、AI技術を理解し、ビジネス課題に適用できるチームの構築を目指しましょう。
成功・失敗の傾向を意識することで、AI開発プロジェクトをよりスムーズに進められます。

AI開発を成功させるために

AI開発を成功に導くためには、入念な計画と準備が非常に重要です。

構想・準備段階で課題を明確にし、データ・開発段階で質の高いデータからモデルを構築し、運用・改善段階で継続的に精度を向上させることが基本です。

明確な課題設定・十分なデータ準備・段階的な展開を意識することで、AI導入の成功に近づくことができます。

まずは小さなプロジェクトから始め、経験を積み重ねていくことが大切です。
AI開発の工程には、課題設定の精度、データ準備の適切さ、運用段階での改善プロセスの継続性など、多くの検討や実行能力が求められる要素があります。

これらを安定的に実現するには、要件整理からモデル構築、運用体制の設計までを一体で扱える仕組みが有効です。

CLINKSでは、要件整理から設計・開発・運用までを一気通貫で支援する「AI開発サポートサービス」を展開しています。
企業の規模や業務特性に応じて最適なAI活用の枠組みを構築できるCLINKSへ、ぜひご相談ください。CLINKSでは、AI導入・RAG構築・業務AI化など幅広くご相談を承っています。

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