【2025・2026年】AI開発補助金の選び方と申請の流れを分かりやすく解説

2025.12.19

急速に活用が広まったAI技術は、企業の競争力を大きく左右する時代になりました。

しかし、AI開発には多額の資金が求められるため、特に中小企業にとって大きな課題となっています。

本来なら数千万円規模の投資が求められるAI開発プロジェクトも、補助金を活用することで企業の資金負担を軽減できる可能性があります。
本記事では、以下の領域を対象としています。

・AIを活用したシステム開発(AI導入・開発企画フェーズ)
AI開発を進める企業向けに、補助金制度の選び方や申請の流れ、資金計画を踏まえたAI導入の進め方を解説します。

2025年・2026年に実施されるAI開発向け補助金制度の概要から最新の補助金情報まで紹介します。

AI開発における補助金制度の概要

AI開発プロジェクトを進める企業にとって、補助金は開発費用の負担を抑えられる有力な資金源となります。
国や自治体が提供する補助金制度を理解することで、効率的な資金調達の選択肢が広がります。

主要な補助金制度の種類

AI開発に活用できる補助金は、提供元によって大きく4つに分類されます。

経済産業省・NEDO(技術開発支援機関)が実施する大型補助金、医療やAI安全性に特化したAMED(医療研究開発機構)関連制度、スタートアップ向けのSBIR(中小企業研究開発支援)、そして東京都などの自治体が提供する地域密着型制度です。

これらの制度は、AI開発の段階や目的に応じて使い分けることで、効果的な支援を受けられる可能性があります。

補助金によって対象となる経費や申請要件が異なるため、自社のプロジェクトに適した制度を選ぶことが大切です。

補助率の基本的な考え方

補助率(補助金が賄える割合)とは、プロジェクトに必要な経費のうち、補助金で賄える割合のことです。

例えば補助率が2/3の場合、総経費1000万円であれば約667万円が補助され、残りの333万円は自社で負担することになります。

一般的な国の補助金は1/2から2/3程度、地方自治体の制度も同様の補助率が設定されています。ただし、条件によっては優遇措置が適用される場合があります。

補助率が高いほど企業の経費負担は減りますが、審査基準も厳しくなる傾向があります。
申請前に、自社の資金状況に合わせて、補助率と審査難易度のバランスを考慮することが大切です。

補助金制度の全体像を把握し、自社のプロジェクト規模や企業属性に応じた制度を選択することで、効果的な資金調達が実現できます。

補助率や制度の違いを踏まえた上で自社の開発計画に適した補助金を選ぶためには、実際のAI活用シナリオや開発要件を明確化することが重要です。

2025・2026年で使えるAI開発関連の補助金

2025年・2026年に実施される代表的なAI開発補助金制度をご紹介します。
各制度の特徴を理解し、プロジェクトの目的に応じた補助金を選択することが大切です。

キャリアアップ助成金(賞与・退職金制度導入コース)

・地域:全国

・助成率:定額支給(57万円)

・実施機関:厚生労働省

・対象:雇用保険適用事業所の事業主、キャリアアップ計画期間内にキャリアアップに取り組んだ事業主

・内容:先端技術・AI・ロボットの導入に関する従業員のキャリアアップ取組に対する助成金

参考:キャリアアップ助成金│厚生労働省

葛飾区介護ロボット導入促進事業補助金

・地域:東京都葛飾区

・助成率:9/10(90%=上限額:834,300円/年度・1申請者あたり)

・実施機関:葛飾区介護保険課管理係

・対象:葛飾区内の介護サービス事業所・施設を運営する者(補助対象経費200,000円以上が必要)

・内容:移乗支援、移動支援、排せつ支援、見守り・コミュニケーション、入浴支援、介護業務支援のいずれかの場面で使用され、介護従事者の負担軽減効果があるロボット導入を支援する補助金

参考:葛飾区介護ロボット導入促進事業補助金│葛飾区

AI・IoT等利活用促進事業補助金(伊那市)

・地域:長野県伊那市

・助成率:2分の1以内(上限:500,000円)

・実施機関:伊那市

・対象:伊那市内の中小企業者(個人事業主、法人問わず。全業種対象、創業1年目以降の企業)

・内容:製造業を中心とした中小企業がAIやIoTを活用して経営課題に取り組むことを支援する補助金です。対象経費は設備導入費、システム開発費、アドバイザー等によるコンサルティング費用、クラウドサービス利用料等で、人件費は対象外。公募期間は令和7年4月1日~令和8年3月31日。

参考:AI・IoT等利活用促進事業補助金│伊那市

3R技術開発等支援補助事業(建設系産業廃棄物AI・IoT開発導入分野)

・地域:京都府

・助成率:3分の1以内(補助金額:1,000万円以上3,000万円以内)

・実施機関:一般社団法人京都府産業廃棄物3R支援センター

・対象:京都府内に事業場等を有する事業者または事業場を設置しようとする事業者

・内容:産業廃棄物処理における3R推進を目的とし、建設系廃棄物処理へのAI・IoT導入に向けた研究開発・施設整備事業を支援する補助金。
対象経費は原材料費・消耗品費、機械装置・専用ソフトウェア・情報システムの構築費、工事費(本工事・付帯工事)、調査・測量・設計費、国内旅費、大学等との共同研究委託費。
計画事業期間は採択年度から3年度以内です。

参考:京都府3R技術開発等支援補助事業│一般社団法人京都府産業廃棄物3R支援センター

デジタル人材等育成支援補助金(山口県)

・地域:山口県

・助成率:3/10以内(補助上限:30,000円/人または30,000円/回、1社あたり上限150,000円)

・実施機関:公益財団法人やまぐち産業振興財団

・対象:山口県内に事業所を有する中小企業

・内容:IoT、AI、クラウド等のデジタル技術習得に向けた従業員研修およびカーボンニュートラル・ESG等GX推進人材育成を支援する補助金。
募集期間は令和7年5月12日~令和8年1月末日(予算上限に達した時点で終了)です。

参考:デジタル人材等育成支援補助金│公益財団法人やまぐち産業振興財団

国・自治体それぞれの補助金制度には特徴があり、プロジェクトの規模や目的、地域性に応じた選択が効果的な支援につながります。

補助金活用の注意点

補助金を効果的に活用するには、申請前に十分な準備期間を確保することと、応募する補助金の内容を理解することが重要です。
失敗や落とし穴を避けるための注意点をご紹介します。

自社が補助金の対象企業・対象事業の要件を満たしているか

企業規模、業種、立地要件(都内本店所在等)は制度によって異なります。

対象経費の範囲を正確に把握

人件費・外注費・設備費など、制度によって対象外となる経費が存在します。

補助金制度の公募期間・申請期限

事業計画書や収支予算書の作成には相応の時間を要します。
余裕を持ったスケジュール計画が大切です。

これらの確認を怠ると、申請不可や採択外という結果に至る可能性があります。

申請前の十分な確認と準備を徹底し、補助金活用の成功率を高めましょう。

補助金を活用してAI開発を推進

AI開発補助金制度の全体像を理解し、自社に適した制度を選択することで、効率的な資金調達が実現できます。ポイントをおさらいします。

・国・自治体それぞれの補助金制度の特徴を把握する
厚生労働省、NEDO、AMED、SBIR、地方自治体など、提供元によって対象事業や補助額が異なります。

・プロジェクトの規模・目的に応じた制度を選択する
基盤モデル開発、医療AI、スタートアップ向けなど、自社の開発内容に適した制度を見極めることが大切です。

・申請前の要件確認と十分な準備期間を確保する
対象企業・対象経費・公募期間を事前に確認し、事業計画書作成に十分な時間を確保します。

・複数補助金の適切な活用と不採択時の柔軟な対応
経費の二重補助を避けながら複数制度を組み合わせ、不採択時も改善と再挑戦の機会と捉えます。

補助金を効果的に活用し、AI開発プロジェクトを成功させましょう。

AI開発補助金の活用を最大化するためには、制度の選定だけでなく、開発要件の具体化や実現可能性の検証、データ活用方針の整理が不可欠です。

AI活用基盤の構築や生成AIの安全な導入についてより実践的な支援が必要な場合は、専門家による技術支援サービスを検討してください。

CLINKSでは補助金要件を踏まえたAI開発計画の策定から実装・運用までを一貫支援しており、最適な制度活用とスムーズな導入をサポートします。

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