AI開発の外注を成功させるプロセスと失敗回避のポイント
企業によってはAI開発を自社内で完結させることもできますが、専門知識やリソースを補完するために信頼できるパートナーとなる開発会社へ依頼することも一般的です。
AI開発業務を専門企業へ委託して成果を出すためには、どのようなアプローチが必要なのでしょうか?
結論として、自社とベンダーの役割を明確にし、企画段階からPoC(概念実証)、開発、テスト、運用に至る各フェーズを段階的に進めることで、自社のリソースや知識を補完しながら着実に開発を進めることができます。
本記事では、AI開発の外注を検討する場合に、パートナー企業との協力による開発プロセスの全体像と失敗を回避するためのポイントを解説します。
- 自社でAI開発をするリスクと外注するメリット
- AI開発を外注した際の主要なプロセス
- トラブルを防ぎ、スムーズな進行をするための開発企業の選定ポイント
目次

AI開発のプロセスは企画から要件定義、実装、PoC、テスト、運用へと段階的に進むのが基本です。このアプローチにより、リスクを最小化しながら着実な進行が可能になります。
AI開発の標準的なプロセス
企画フェーズでビジネス課題と解決可能性を検証し、PoC(概念実証)フェーズで技術的実現可能性を小規模に検証します。
その後、本格的なシステム構築を行い、テストフェーズで品質を確保してから本番導入という流れが一般的です。
運用フェーズで継続的な改善をすることで、システムの品質を高めながら長期的に展開・活用していくことに繋がります。
自社AI開発で発生しやすい課題は?
AI開発では、動作するコードがすぐに完成することも珍しくありません。
しかし、その手軽さゆえに開発を進めていくと、システム内部のブラックボックス化が進み、「なぜその結果が出たのか」「どのような処理が行われているのか」を誰も説明できない状態に陥りがちです。
その結果、技術的な問題が発生した際に品質の担保が難しくなり、トラブル対応も困難になってしまうでしょう。
AI技術は急速に進化するため、こうした課題を自社だけで継続的に解決し続けることは多くの企業で容易ではありません。
下記の記事では、個人でAI開発を実践する際の落とし穴について解説しています。
専門会社への依頼で得られるメリット
安全かつ効率的な開発を進めるためには、AI開発の専門会社に依頼することが有効です。
専門会社は土台となる技術的な知識やAI技術に関する知見、ブラックボックス化を防ぐ設計手法や、トラブル発生時の迅速な対応体制を備えているのが強みです。
企画段階では自社で解決したい課題や期待する成果を明確にし、専門会社が技術観点を受け持つ役割分担が可能です。
PoC段階以降も、自社がデータ提供と業務知見を担当し、専門会社が技術的な品質を担保することで、安定したプロジェクト進行を期待できます。
自社だけでAI開発を進めるリスクを理解し、専門会社との協力体制を構築することが、企画段階から本番運用までプロジェクトを成功に導く鍵となります。
ただ動作するだけではなく、実際に役立ち長期的に活用できるAIシステムを開発するには高度な技術力が必須です。
CLINKSは、プラットフォーム選定からAIモデル開発・運用までを一貫支援できる体制を備えており、企業の環境や課題に合わせた最適なAI導入を実現します。
CLINKSのAIシステム開発については、こちらをご覧ください。

外部企業へのAI開発依頼を成功させるには、自社での企画からパートナー選定、開発、検証、運用まで、各フェーズの目的と役割分担を理解して段階的に進めることが重要です。
ここでは、専門会社へ依頼するケースでの一般的な流れを紹介します。
フェーズ1:自社企画
外部企業に依頼する前に、自社でビジネス課題の明確化と投資価値の検証を行うフェーズです。
「AIで何を解決したいのか」を経営層と現場で共有し、プロジェクトの方向性を社内で統一しましょう。
ビジネス課題の明確化、AIでの解決可能性の仮説立案、ROI(投資対効果)試算、必要データの棚卸しを実施します。
フェーズ2:AI開発会社選定
自社の課題と要件を整理した上で、最適なAI開発会社を選定するフェーズです。
実績・専門性(同業界での導入実績、使用技術)、体制・人材(専任技術者の有無、サポート体制)、セキュリティ・契約条件(SLA(サービス品質保証)、知財帰属)のように評価軸を揃えて選定することがポイントです。
複数社への相談や提案を受けながら比較検討し、自社と相性の良い開発会社を探しましょう。
開発会社の選び方について、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事:アプリ開発会社を選ぶ際の5つのポイントとは?プロジェクトを成功に導く方法を紹介
フェーズ3:システム構築・開発(PoC)
選定したAI開発会社と協力して、本格的なシステム構築を行うフェーズです。
要件定義の本格化、データ前処理、AIモデル(AI学習済みシステム)の開発・チューニング、既存システムとの連携を実現します。
「何をAIに任せるか」を明確にした上で、システム要件と業務要件の両面から要件定義を進めます。
「自社はデータ提供と業務知見の共有を担当」、「開発会社がモデル構築と技術的な品質担保を担当」のように役割を明確にすることで、トラブルの防止やスムーズなプロジェクト進行に繋がるでしょう。
フェーズ4:テスト
開発したAIシステムの実現可能性と品質を検証するフェーズです。
PoC(概念実証)では「小さく作って、早く試す」アプローチで技術的実現可能性を確認し、テストでは本番導入前の品質確保を行います。
データアセスメント、モックアップモデル構築、精度検証、単体・統合テスト、ユーザー受け入れテストなどを通じて、本番導入の判断を行います。
フェーズ5:運用
本番導入後の継続的な改善と保守を行うフェーズです。
インフラ保守、パフォーマンス監視、ユーザーサポート、定期的な再学習(リトレーニング)を通じて、モデルの精度維持とMLOps(機械学習運用体制)の構築が重要となります。
市場変化に伴うモデルの精度低下に対応するため、新データの追加学習と定期的なモデル再評価を開発会社と連携して実施します。
外部企業への依頼を前提とした各フェーズの役割分担を理解することが、プロジェクト全体の成功確率向上につながります。

AI開発をパートナー企業に依頼する際は、発注側の主体的な関与、コミュニケーション体制の構築、データ準備とノウハウ蓄積の3点を意識することが成功の鍵となります。
AI開発を依頼する際に意識すべき3つのポイント
発注側の主体的な関与
ビジネスの目的や解決したい課題、業務プロセスの詳細を最も理解しているのは発注側です。
こうした知見を積極的に共有しながら開発を進めることで、より適切なAIシステムの構築につながります。
コミュニケーション体制の構築
週次または隔週での定期ミーティングを設定し、進捗状況や課題を共有する仕組みを整えておくと安心です。
窓口担当者を決めておくことで、技術的な質問と業務的な判断をスムーズにやり取りできます。
データ準備とノウハウ蓄積
AI開発にはデータが欠かせません。
必要なデータが揃っているか、欠損や誤りがないかを事前に確認しておくとスムーズです。
また、開発プロセスに社内担当者が参加することで、AIの仕組みや運用方法への理解が深まり、将来的な改善や内製化にも対応しやすくなります。
スムーズな進捗管理のための契約実務
契約書で成果物定義・支払い条件・知財帰属を明確にし、マイルストーン設定と定期ミーティングを通じた進捗管理を行います。
契約書には成果物の具体的な定義、支払い条件、知的財産権の帰属を明記しましょう。
前述した主要プロセスも参考に、大きな区切りでマイルストーンを設定することで大幅なスケジュール遅延を防止できます。
成果物については、機能要件充足、精度基準値達成、既存システム連携の確認など、基準を明確にしておくことが重要です。
また、開発途中で仕様変更が発生した場合には、費用の追加やスケジュールの調整が必要になることを依頼する側も十分に認識しておく必要があります。
適切な会社選定と契約実務を行うことで、プロジェクト進行時のリスクを効果的に軽減できます。

開発会社(ベンダー)に契約内容含めて相談しながら進めることも一般的です。
AI開発プロセスを理解し、各フェーズでの役割分担を明確にすることが、プロジェクト成功の確率向上に直結します。
本記事で解説した5つのフェーズと開発会社選定のポイントを踏まえ、企画段階から本番運用まで段階的に進めることが重要です。
自社の要件を正しく定義し、理想像を掲げた後は、実際のAIシステム開発が待っています。
トラブルなく、スムーズなAI開発を進めるためには、自社でもプロジェクト進行に関わり、推進していく意識が重要です。
優れたパートナーを見つけることができれば、長期的に効果を生み出すAIシステムの開発に繋がるでしょう。
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