【事例9選】生成AIで業務改善を進めるヒントと自社業務の落とし込み方
この記事の結論
生成AIの業務改善は、事例を集めるだけでは進みません。
どの工程を置き換えるか、何を参照させるか、人がどこで確認するかを先に決めると、社内システムに落とし込みやすくなります。
- 大規模企業と中小規模組織で参考にしやすい生成AIの具体事例
- 事例をそのまま真似せず、自社要件に変える考え方
- AI人材が少ない会社でも進めやすいPoCと本番運用の進め方
生成AIで業務改善を進めたいが、他社事例を見ても自社で何を作ればよいのか見えにくい、というケースは少なくありません。
特に、社内にAIの専門人材がいない場合は、ツール選定より先に、対象業務、参照データ、確認フローを整理することが重要です。
この記事では、各規模の事例を見比べながら、開発へ落とし込む考え方のヒントについて解説します。
目次
- 大規模企業で進む生成AIの業務改善事例3選
- 三菱UFJ銀行:提案書データレイクで営業現場の業務改革を推進
- トヨタ自動車:知能化技術の開発でAI活用を展開
- パナソニック コネクト:自社特化型LLMを全社利用
- 中小規模組織で参考にしやすい生成AIの業務改善事例6選※
- note:AI執筆サポートで記事作成の負荷を軽減
- JR西日本カスタマーリレーションズ:問い合わせ内容を自動要約
- ディップ:生成AIを活用した履歴書作成支援
- セブン‐イレブン・ジャパン:店舗業務の省人化へ生成AI活用を推進
- 大林組:設計初期検討をAIで効率化
- 別府市:自由記述の分類とRPA連携を組み合わせ
- 他社の模倣ではなく、自社向けAIシステムとして要件を作るには?
- 作業を工程、参照データ、確認ルールに分ける
- 便利な画面より、確認しやすい流れを優先する
- 生成AIによる業務改善事例を成果につなげる

大規模企業では、全社展開と専門業務の高度化を両立させる形で生成AIの導入が進んでいます。
参考になるのは、対象業務と確認体制を先に定めている点です。
以下では、大規模企業で生成AIを活用して業務改善に取り組んだ事例を紹介します。
三菱UFJ銀行:提案書データレイクで営業現場の業務改革を推進
三菱UFJ銀行は、LayerXと連携し、営業現場で使う提案書を蓄積・活用する「提案書データレイク」に取り組んでいます。
提案業務に必要な知見を共有しやすくし、生成AIを業務へ実装していく進め方は、文書資産を多く持つ大企業で参考にしやすい事例です。
参考:LayerX社との連携によるメガバンク×生成AIの業務実装。「提案書データレイク」があらゆる業務改革を加速させる。
トヨタ自動車:知能化技術の開発でAI活用を展開
トヨタ自動車は、知能化技術の開発を通じて、設計や開発判断へのAI活用を広げています。
社内知見を活かしながら開発のスピードと判断の質を高める方向性は、製造業や開発部門で参考にしやすい考え方です。
参考:TOYOTA 知能化技術
パナソニック コネクト:自社特化型LLMを全社利用
全社員向けの独自AIアシスタントを広げながら、パナソニック コネクトは自社特化型LLMの開発も進め、年間44.8万時間の労働削減を達成しています。
まず共通業務で利用を広げ、その後に専門部署向けへ深める進め方は大規模導入の参考になります。
参考:パナソニックコネクト、「聞く」から「頼む」へシフトしたAI活用で年間44.8万時間の削減を達成
大規模企業の事例では、社内文書の活用範囲、機密管理、専門知識の再利用まで設計している点が共通しています。
具体的に、どのような業務にどのような形で生成AIを導入するかの明確化が、改善に直結するAI活用のポイントです。

中小規模組織では、生成AIの全社最適化より先に、効果が見えやすい工程から導入する形が多く見られます。
検索、下書き、要約、分類のように生成AIに任せる役割を絞ると、少人数でも進めやすくなる仕組みです。
以下では、中小規模の組織や企業で生成AIを業務改善に活用している事例を紹介します。
note:AI執筆サポートで記事作成の負荷を軽減
音声データからの原稿生成やタイトル案の提示を行うのが、noteのAI執筆サポートです。文章作成の初動を軽くし、人は内容調整に集中する形は、情報発信やコンテンツ制作の業務で参考にしやすい事例です。
参考:音声データからインタビュー原稿を自動生成!note pro、新機能「AI執筆サポート」をリリース
JR西日本カスタマーリレーションズ:問い合わせ内容を自動要約
JR西日本カスタマーリレーションズでは、顧客応対の内容を生成AIで自動要約する取り組みが進められています。
あわせて要約データの可視化まで進めており、通話後の記録作成の負荷を下げ、関連部署との情報連携の円滑化に役立てています。
このような生成AIによる自動要約を行う使い方は、サポート部門で参考にしやすい取り組みです。また、さまざまな企業の会議やミーティングの議事録作成にも応用できます。
参考:生成AIパッケージ
ディップ:生成AIを活用した履歴書作成支援
ディップが提供する履歴書作成機能「やさしい履歴書」では、生成AIを活用して志望動機や本人希望欄の作成を支援しています。
入力負荷が高い自由記述を下書き支援する形は、応募書類や各種申請文面の作成支援にも応用しやすい取り組みです。
履歴書記入を支援することで、求人応募のハードルを下げてサービス利用者を増やす施策としても効果的な方法です。
参考:ディップ、生成AIを活用した履歴書作成機能「やさしい履歴書」開始
セブン‐イレブン・ジャパン:店舗業務の省人化へ生成AI活用を推進
店舗業務の負担軽減に向けて、セブン‐イレブン・ジャパンは生成AIを活用したヒューマノイドロボットの開発と実証を進めています。
人手不足が課題になりやすい現場で、AIを物理業務へ広げる方向性が見える事例です。
店舗のDX化手段の一つとしても、生成AIが活用されています。
参考:セブン‐イレブン・ジャパンとテレイグジスタンス、生成AIを活用したヒューマノイドロボットの開発と実証、店舗導入に関するパートナーシップを締結
大林組:設計初期検討をAIで効率化
大林組では、建築構造設計の初期検討にAIを活用し、部材寸法の提案や設計検討の効率化を進めています。
設計者の判断を置き換えるのではなく、初期案の検討を速める使い方は、専門業務での活用を考える際に参考になる事例です。
企画やアイデア抽出の初期段階で活用できる方法で、企画立案を高速化して業務に着手するまでの作業を効率化しています。
参考:断面設計を自動で行う構造設計支援AIプログラムを開発
別府市:自由記述の分類とRPA連携を組み合わせ
別府市では、自由記述の分類や業務処理への活用を実証運用の中で検証しています。
生成AIを次工程へ渡す前処理として使う設計は、既存の自動化資産がある組織で参考になります。
プロンプトで指示をするだけで分類作業を自動化できるため、バックオフィス業務の効率化に活用できる事例です。
参考:生成AIを活用した事業の実証運用
広い構想から始めるより、検索、下書き、要約、分類など、AIで解決する具体的な個別要素に集中すると自社業務の改善施策として参考にしやすくなります。
アシスタントやコンシェルジュ、エージェントのように活用するイメージです。
着手しやすい業務の改善から取り組み、少しずつより高度な課題を解決する活用へと広げていきましょう。
他社の事例を参考にすることはAI導入において有効なアプローチです。
ただし、その手前の情報としてAI活用にどのような価値があるのか、活用するためのポイントはなにかを知っておくことで、より具体的に自社でのAI導入を検討できます。
こちらの記事では、事例の他にも経営目線でのAI価値や、AI活用のポイントをまとめています。
関連記事:AI活用の経営的価値と実践ポイントを解説!

他社の模倣ではない、自社向けAIシステムとして要件を作る場合は、業務工程単位で要件を絞って活用方法を検討する必要があります。
他社事例を見て同じ機能を作っても、自社の流れに合わなければ定着・効果発揮は難しいでしょう。システム開発へ落とし込むときは、機能名ではなく工程単位で整理し、具体的な活用方法をイメージすることが重要です。
作業を工程、参照データ、確認ルールに分ける
対象業務は、「入力を受ける」「情報を探す」「下書きを作る」「人が確認する」のように工程を分けると要件化しやすくなります。あわせて、社内FAQ、過去回答、規程、マニュアルのどれを参照させるか、どこで承認するかを決めると、必要な機能の取捨選択ができます。
便利な画面より、確認しやすい流れを優先する
生成AIの出力が見栄えよくても、根拠が追えず差し戻しが多いと実務では使いにくい状態です。顧客向け文書や社外提出物では、確認者、承認条件、ログの残し方まで先に決めると、本番運用へつなげやすくなります。
表面的に事例を模倣するのではなく、工程、参照データ、確認ルールへ分解し、自社向けの要件へ落とし込んで活用方法を検討することが大切です。
特定の業務を選定することが難しい場合、業務領域などのくくりで整理することも可能です。
例えば、プロジェクト管理や人員管理が考えられるでしょう。
こちらの記事では、プロジェクト管理に焦点を当ててAI活用を紹介しています。
併せてご覧ください。
関連記事:プロジェクト管理におけるAI活用の基本と成功のポイント

生成AIの事例はありますが、業務改善につながる生成AI活用を行うには、事例の数より、自社業務に合わせてどこまで要件へ分解できるかという観点が重要です。
特に、検索、下書き、要約、分類、回答支援など、具体的に活用する業務・工程を明確にすると、開発の方向性が定まります。
まずは対象業務を狭く決め、参照データと確認フローを整えたうえで、PoCから本番運用へ進めましょう。
プロフェッショナルが生成AIのシステム化をサポートします
「生成AIを使いたいが、何をどうシステムにすればよいか整理できない」
そのような課題をお持ちなら、600以上の開発実績を持つCLINKSへぜひご相談ください。
専門知識を持つプロフェッショナルが、業務整理から要件化まで一気通貫でご支援いたします。