生成AIの情報漏洩が起きる仕組みと業務で安全に運用するための防止策

2026.06.26

この記事の結論
生成AIの情報漏洩は、入力データの学習利用・外部送信・誤入力・シャドーAI・ベンダー側の障害といった複数の経路で起こります。
個人向けサービスと法人向けサービスではデータの扱いが大きく異なるため、利用経路を契約管理できるサービスへ集約し、社内ゲートウェイやRAGによる閉域構成で機密データを守ることが現実的な防止策です。

この記事で分かること
  • 生成AIの情報漏洩が起きる仕組みと主要なリスク経路
  • 個人向けと法人向けの生成AIサービスでデータ利用ポリシーがどう違うか
  • 自社の業務で情報漏洩を防ぐための構成設計と運用上のポイント

情報システムやセキュリティを担当する立場では、生成AIの利用を止めるよりも、安全に使える環境を整える判断が求められます。

目次
  1. 生成AIで情報漏洩が起きる理由
  2. 生成AIの学習の仕組みによるもの
  3. 生成AI利用時の外部送信・保存の問題
  4. 生成AI利用時に情報漏洩のリスクが高い経路とは?
  5. 誤入力・誤共有など人的要因による情報漏洩リスク
  6. 生成AIのシャドーAIによる情報漏洩リスク
  7. 生成AIの情報漏洩を防ぐための3つの構成要素
  8. 生成AIに利用するデータの分類・データセットの整備
  9. ゲートウェイとRAG閉域構成による利用経路の集約
  10. 社内ルール・権限管理による生成AI利用のガバナンス統制
  11. 生成AIの情報漏洩に関するよくある質問
  12. 生成AIの利用を禁止すれば情報漏洩は防げますか?
  13. 無料版と有料版の生成AIで情報漏洩リスクに違いはありますか?
  14. RAGを使えば生成AI利用時の情報漏洩リスクはなくなりますか?
  15. 生成AIの情報漏洩対策で押さえるべきポイント

生成AIで情報漏洩が起きる理由

生成AIで情報漏洩が起きる理由

生成AIで情報漏洩が起きる理由として、以下の2項目が挙げられます。

・生成AIの学習の仕組みによるもの
・生成AI利用時の外部送信・保存の問題

生成AIの情報漏洩は、主に入力データの学習利用と外部送信・保存の両方の経路で発生します。
仕組みを経路ごとに切り分けることが対策の前提です。

生成AIの学習の仕組みによるもの

生成AIによる情報漏洩は、生成AIの学習の仕組みによって発生するケースがあります。
個人向け生成AIでは、入力した内容がモデル改善に使われ得る設定になっていることが少なくありません。

AIモデルのプロバイダーでも個人向けサービスについて学習利用することを明示しているケースが多く、機密情報を入力した時点で自社の統制外にデータの送信は行われることになります。
顧客との契約内容や開発中のソースコードを入力してしまうようなリスクに備え、業務利用の入口で経路を限定するなどの対策が求められます。

生成AI利用時の外部送信・保存の問題

生成AI利用時の外部送信・保存の問題で、情報漏洩が発生することもあります。
法人向けサービスでは学習対象外が既定のものが多い一方で、データが外部サーバーに送信・保存される時点で別のリスクが生じます。

「法人向けのAPIを使えば情報が保存されない」という前提は正確でなく、ログ保持期間と権限設計の確認が欠かせません。
AIプロバイダーやそれに準ずるリモートサーバー上でモデルが動作する環境では、仕組みとしてデータの送信は行われるということを理解することが重要です。

生成AIの情報漏洩は学習利用と外部送信・保存の両軸で発生するため、利用経路ごとの仕組みを把握することが対策の起点です。

生成AIが抱えるセキュリティリスクやその対策について、こちらの記事で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
関連記事:生成AIセキュリティ対策を進めるための考え方とは?

生成AI利用時に情報漏洩のリスクが高い経路とは?

生成AI利用時に情報漏洩のリスクが高い経路とは?

生成AIの情報漏洩は、ベンダー側だけでなく利用者側の行動による経路でも発生します。
経路を整理して対策を立てていくことが大切です。

誤入力・誤共有など人的要因による情報漏洩リスク

生成AIの情報漏洩は技術的な脆弱性以外にも人為要因で起こり得ます。
機密情報や顧客情報をプロンプトへ貼り付ける操作ミスや、機密情報が記載されているチャットを共有リンク外部へ送信などが代表的です。

議事録に固有名詞が含まれたまま生成AIへ投入するといったケースは多くの企業で起こりやすく、入力を止める仕組みが整っていないと統制が機能しなくなります。
禁止語フィルタと教育の組み合わせが情報漏洩防止の手段として有効です。

生成AIのシャドーAIによる情報漏洩リスク

会社が承認していない生成AIサービスを私物アカウントで業務利用するシャドーAIは、情報漏洩リスクを不可視化する点で対処が難しい経路です。
業務効率化のために自分で使い始めた結果、顧客情報や契約書が管理外サービスへ入力される状況が生まれやすくなります。

企業が用意している公式環境が使いにくければ現場は手近なサービスへ流れやすくなってしまいます。
実務で不足なく活用できる環境の用意と、承認済みサービスの整備・監査ログによる可視化が現実的な対策と言えるでしょう。

人為ミスとシャドーAIは代表的な生成AIの情報漏洩リスクです。
利用者側の行動を想定し、それを前提とした統制設計がリスク低減に直結します。
シャドーAIや誤入力による情報漏洩は、現場が使いやすい公式環境を整備することで大幅に減らせます。

関連記事:AI導入で失敗しないために企業が知るべき注意点と対策

生成AIの情報漏洩を防ぐための3つの構成要素

生成AIの情報漏洩を防ぐための3つの構成要素

生成AIの情報漏洩を防ぐには、データ分類・利用経路の集約・社内基盤での統制という三層で構成を設計する必要があります。

生成AIに利用するデータの分類・データセットの整備

生成AI利用時はなんらかのデータを入力します。
そのため、まずは入力データの分類から始めるとよいでしょう。

項目 具体例 防止できるリスク
入力データ分類 個人情報・契約情報を入力禁止に設定 機密情報の誤入力
入力許可区分の明文化 「公開情報のみ入力可」などを定義 現場判断による誤利用
法人向けサービス利用 ChatGPT Enterprise、Azure OpenAI利用 シャドーAI利用
データセット整備 利用可能データのみ整理・管理 不適切データ利用

機密情報や個人情報、契約情報などの機密情報を入力不可として明示しつつ、入力許可区分の例も明文化することで現場で判断しやすくなります。
また、個人向けサービスの業務利用は禁止とし、契約管理できる法人向けサービスへ集約することで、監査ログとシャドーAI対策の土台が整います。

ゲートウェイとRAG閉域構成による利用経路の集約

更なる対策としては、AIへの接続を一元管理するゲートウェイを配置する構成も有効です。

項目 具体例 防止できるリスク
AIゲートウェイ導入 接続経路を一元管理 無許可利用
SSO認証 社員アカウント認証を統一 不正アクセス
DLP・入力マスキング 機密情報検知・自動マスク 情報漏洩
閉域RAG構成 ローカルLLM、プライベートLLM 外部送信リスク

ゲートウェイはSSO認証・DLP・入力マスキング・ログ監査を集約し、機密情報の素通りを防ぎます。
さらに高いセキュリティが求められる業務では、ローカルLLMや閉域ネットワーク上のプライベートLLMが根本的な解決策として挙げられます。
許容できるコストや機密度に応じて、段階的な構成設計することが大切です。

社内ルール・権限管理による生成AI利用のガバナンス統制

生成AIの情報漏洩対策では、技術面だけでなく、社内ルールや利用統制の整備も重要です。

項目 具体例 防止できるリスク
利用ルール整備 入力禁止情報を明文化 人的ミスによる漏洩
権限管理 部門別アクセス制御 不適切利用
利用ログ監査 操作履歴・入力履歴を保存 問題発生時の追跡不能
閉域RAG構成 ローカルLLM、プライベートLLM 外部送信リスク

利用可能な生成AIサービスや入力禁止情報を明確化することで、現場判断による人的要因での情報漏洩リスクを抑制できます。
また、SSO認証や権限管理、利用ログの監査体制を整備することで、シャドーAI利用や不適切利用の防止にもつながります。

データ分類と利用経路の集約を起点に、社内ゲートウェイと閉域構成を段階的に整備することが、生成AIの情報漏洩を防ぐ実装の手順です。

社内ゲートウェイやRAG閉域構成は、設計の方針を決める段階がもっとも重要です。
CLINKSはデータ分類の整理からゲートウェイ設計、閉域環境の構築まで、貴社の環境に合わせた実装プランをご提案できます。
構成設計の具体的な相談はCLINKSへお気軽にお問い合わせ下さい。

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さらに、RAGやベクトルDB、各種フレームワークを駆使した高度な実装力と豊富なノウハウを掛け合わせ、信頼性の高いシステムを構築します。

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生成AIの情報漏洩に関するよくある質問

以下では、生成AIの情報漏洩に関するよくある質問に回答します。

生成AIの利用を禁止すれば情報漏洩は防げますか?

禁止だけでは防げないケースがあります。禁止後も個人アカウントで利用するシャドーAIの実態が存在しており、公式に許可された環境を用意して利用を可視化する対策を合わせる方が有効な場合もあります。

無料版と有料版の生成AIで情報漏洩リスクに違いはありますか?

無料版は学習利用、有料版はユーザーに学習拒否の選択肢が与えられるポリシーのサービスもあります。原則として無料よりも有料、個人向けよりもビジネス向けが厳格なデータの取り扱いとなることが通常です。業務利用では契約内容を確認し、データの扱いを十分に理解することが重要です。

RAGを使えば生成AI利用時の情報漏洩リスクはなくなりますか?

RAGを導入してローカルLLMで動作させても、権限設計次第ではリスクが残ります。ベクトルDBへのアクセス制御が不十分だと意図しない参照が起こり得るため、権限設計とログ監査をあわせて実装することで初めて実効的な対策になります。

生成AIの情報漏洩対策で押さえるべきポイント

生成AIの情報漏洩は、学習利用・外部送信・人為ミス・シャドーAIと複数の経路で発生します。
個人向けと法人向けではデータの扱いが異なるため、利用経路を契約管理できる環境へ集約することが対策の起点です。
入力データの分類と社内ゲートウェイによる統制、高機密領域での閉域構成を組み合わせることで、業務上のリスクをコントロールできます。

AI活用におけるセキュリティ対策と段階的な導入のポイントについて、こちらの記事で詳しく解説しています。
併せてご覧ください。
関連記事:AI活用のセキュリティ対策と段階的導入のポイント

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