RFPとは?システム開発の提案依頼書の書き方と必ず入れる項目を解説

2026.10.20
RFPとは?システム開発の提案依頼書の書き方と必ず入れる項目を解説

「システム開発を外部に依頼したいが、RFP(提案依頼書)に何を書けばよいか分からない」

情報システム部門やDX推進担当の方から、このようなご相談を数多くいただきます。

RFPの完成度は、その後にベンダーから届く提案内容の質や見積の精度、さらにはプロジェクト全体の成否を左右します。

本記事では、Webシステム開発・運用の契約企業600社以上と取引する中で、数多くのRFPを受け取ってきたCLINKSが、RFPの基本的な意味から、RFI・RFQとの違い、必ず盛り込むべき項目、作成の具体的な手順までを解説します。

読み終える頃には、貴社のプロジェクトに合わせたRFPを、迷わず作成できる状態になっているはずです。なお、当社ではRFPの整理や作成そのもののご相談も受け付けております。

目次
  1. RFP(提案依頼書)とは
  2. RFPとRFI・RFQの違い
  3. RFP作成が必要になるタイミング
  4. RFPに必ず入れるべき項目
  5. RFP作成の手順
  6. RFP作成でよくある失敗と対策
  7. RFPに関するよくある質問
  8. システム開発のご相談はCLINKSへ
  9. まとめ

RFP(提案依頼書)とは

RFP(Request for Proposal)とは、発注企業がシステム開発の目的や要件を提示し、ベンダーに具体的な提案を依頼する文書です。日本語では「提案依頼書」と呼ばれます。

見積金額だけでなく、課題の背景や実現したいゴールまで含めて伝える点が、RFPの大きな特徴です。

RFPを作成する目的

RFPの役割:RFPなしでは各社の提案の前提が異なり比較しづらく、RFPありでは同じ条件で比較検討できる

RFPを作成する主な目的は、複数のベンダーから同じ条件で提案を受け取り、比較検討できる状態をつくることです。

RFPがないまま「システムを作ってほしい」とだけ伝えると、ベンダーごとに前提が異なる提案が返ってきます。その結果、見積金額の差が機能や品質の差によるものなのか、前提条件の解釈の違いによるものなのか判断しづらくなるケースも少なくありません。

その点、RFPがあれば、同じ条件のもとで提案の内容を比べやすくなります。

RFPとRFI・RFQの違い

RFPと混同されやすい言葉に、RFIとRFQがあります。まずは違いを表で整理します。

項目 RFP(提案依頼書) RFI(情報提供依頼書) RFQ(見積依頼書)
目的 課題解決に向けた具体的な提案を依頼する ベンダーの実績・技術動向などの情報を集める 確定した仕様に対する価格を依頼する
使うタイミング ベンダー選定プロセスの中心 RFP作成前の情報収集段階 提案・仕様が固まった後
依頼先の数の目安 絞り込んだ数社(3〜5社程度) 幅広い候補(5〜10社程度) 提案内容が確定した1〜数社
記載内容 背景・目的・要件・評価基準など 会社概要・実績・技術トレンドなど 数量・仕様に対する見積内訳

RFI・RFP・RFQの流れ:RFIで5〜10社程度から情報を集め、RFPで3〜5社程度に提案を依頼し、RFQで1〜数社に価格を依頼して依頼先を絞り込む

RFPとRFIの違い

RFIは、RFPを作成する前段階で、市場にどのようなベンダーや技術があるかを把握するために使います。自社に知見が少ない技術領域を扱う場合は、RFIで情報を集めてからRFPを作成すると、要件の精度が上がります。

RFPとRFQの違い

RFQは、仕様や提案内容がある程度固まった段階で、価格の見積のみを依頼する文書です。RFPの回答をもとに1〜数社に絞り込んだ後、詳細な見積調整の場面で使われることが多くなります。

RFP作成が必要になるタイミング

RFPは、主に以下のような場面で必要になります。

  • 老朽化した基幹システムを刷新したいとき
  • 業務システムを新規に開発したいとき
  • 複数のベンダーを比較して発注先を決めたいとき
  • 社内稟議で「なぜこの内容・金額なのか」を説明する必要があるとき

一方で、既存ベンダーへの追加開発や小規模な改修では、簡易的な依頼書で対応するケースもあります。プロジェクトの規模や関係者の数に応じて、RFPを作成するかどうかを判断してください。

RFPに必ず入れるべき項目

RFPに記載する項目は、大きく8つのカテゴリーに分けられます。

カテゴリー 記載する内容の例
①プロジェクトの基本情報 プロジェクト名、発注企業情報、窓口担当者
②背景・目的・課題 システム化の背景、解決したい課題、目指すゴール
③機能要件 必須機能、あると望ましい機能、優先順位
④非機能要件 性能、可用性、セキュリティなどの品質要件
⑤スケジュール・予算 希望納期、マイルストーン、予算の目安
⑥提案依頼事項 提案書に記載してほしい内容、見積の粒度
⑦選定基準 評価項目、配点、実績要件
⑧契約・進行条件 契約形態、支払条件、機密保持に関する取り決め

それぞれの項目を詳しく見ていきましょう。

①プロジェクトの基本情報

  • プロジェクト名
  • 発注企業の概要(業種、規模、部門)
  • 窓口担当者名・連絡先
  • RFPの位置づけ(本提案依頼の目的)

②背景・目的・課題

  • なぜこのシステムが必要になったのか(現状の課題)
  • システム化によって解決したいこと
  • 実現したいゴール(KGI・KPIがあれば明記)

背景や目的が具体的であるほど、ベンダーは的確な提案をしやすくなります。「業務効率化のため」といった抽象的な表現だけでなく、「月〇時間かかっている入力作業を〇割削減したい」のように、可能な範囲で定量的に書くことをおすすめします。

③機能要件

  • 必須機能(Must)とあると望ましい機能(Want)を分けて記載
  • 業務フローや画面イメージ(あれば添付)
  • 既存システムとの連携要件、データ移行の要否

機能を思いつくままに羅列すると優先順位が伝わらず、見積の幅が広がりやすくなります。必須機能とそれ以外を分けて整理してください。

機能要件・非機能要件の整理は、ベンダー選定後の要件定義工程でも中心となる作業です。要件定義の進め方や要件定義書に書く項目を把握しておくと、RFP段階でどこまで書くべきかも判断しやすくなります。

関連記事:要件定義の進め方|失敗しないための工程とドキュメントの作り方

④非機能要件

  • 可用性(稼働率、障害時の復旧目標)
  • 性能・拡張性(想定同時アクセス数、将来の拡張見込み)
  • 運用・保守性(運用体制、保守対応時間)
  • セキュリティ(アクセス制御、データの取り扱い)
  • 移行性(既存データ・システムからの移行方法)

非機能要件は発注企業側で言語化しにくく、RFPから抜け落ちやすい項目です。

IPA(情報処理推進機構)が公開している「非機能要求グレード」では、要件定義の段階で明らかにしておくべき非機能要求を、可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・エコロジーの6分野に整理しています(出典:IPA「非機能要求グレード」)。

非機能要件の6分野(可用性、性能・拡張性、運用・保守性、移行性、セキュリティ、システム環境・エコロジー)出典:IPA「非機能要求グレード」

この6分野を項目の抜け漏れチェックに活用すると、記載漏れを防ぎやすくなります。

⑤スケジュール・予算

  • 希望する稼働開始日、主要マイルストーン
  • 予算の目安(レンジでの提示でも可)

RFPに予算を明記しない企業も少なくありませんが、予算感が共有されていないRFPでは、提案内容の幅が広がりすぎて比較が難しくなる傾向があります。厳密な金額でなくても、レンジで示すだけで提案の精度は大きく変わります。

予算のレンジを決めるには、開発費用がどのような項目で構成され、どこに見落としがちなコストがあるかを知っておく必要があります。アプリ開発を例にした費用の内訳と予算計画の立て方は、以下の記事で解説しています。

関連記事:アプリ開発に必要な費用の内訳とは?予算計画をわかりやすく解説!

⑥提案依頼事項

  • 提案書に記載してほしい項目(体制、進め方、実績など)
  • 見積の内訳の粒度(工程別か、機能別かなど)
  • デモやプレゼンの要否
  • 提案書の提出期限・提出方法・提出先
  • 質問の受付期限・受付方法・回答予定日

⑦選定基準

  • 評価項目とその配点(価格、技術力、実績、体制など)
  • 必須要件(実績年数、対応可能な契約形態など)

評価基準を事前に明文化しておくと、選定後に社内で「なぜこのベンダーを選んだのか」を説明しやすくなります。

⑧契約・進行条件

  • 契約形態(準委任契約/請負契約)
  • 支払条件、検収条件
  • 秘密保持契約(NDA)の締結有無
  • 稼働後の保守・運用体制の要否

システム開発の契約形態は、業務内容によって準委任と請負を使い分ける必要があります。両者の違いを曖昧にしたままRFPを作成すると、後の契約交渉で認識のズレが生じやすくなるため注意してください。

契約形態の違いは、成果の予測が難しいAI開発を依頼する場合に特に重要で、請負と準委任のどちらを選ぶかで責任範囲が変わります。AI開発の契約が複雑になる理由と、契約形態ごとの特徴は、以下の記事で詳しく解説しています。

関連記事:AI開発の契約形態やスムーズに進めるための考え方を解説

💡 システム開発の発注をご検討の方へ
RFPの項目を整理したものの、「これで十分か判断がつかない」という段階からでも、CLINKSにご相談いただけます。契約企業600社以上の実績をもとに、貴社の状況に合わせた進め方をご提案します。

RFP作成の手順

RFPは、以下の6ステップで作成を進めると、抜け漏れの少ない文書に仕上がります。

RFP作成の6ステップ:現状整理、情報収集(任意)、ドラフト作成、非機能要件の整理、社内レビュー、配布・Q&A

ステップ 実施内容
1.現状整理 課題・目的・ゴールを整理する
2.情報収集(任意) RFIで市場・ベンダーの情報を集める
3.ドラフト作成 RFPの各項目を記載する
4.非機能要件の整理 品質要件の抜け漏れを確認する
5.社内レビュー 関係部門を交えて内容を確認する
6.配布・Q&A ベンダーへ配布し、質疑応答期間を設ける

①現状の課題と目的を整理する

RFP作成の最初のステップは、現状の課題とシステム化の目的を言語化することです。関係部門へのヒアリングを行い、「誰が」「何に困っていて」「どうなればよいか」を整理します。

課題と目的の言語化は、AI開発を外注する場合にも同じように出発点になります。外注と自社開発の役割分担をどう決めるか、要件定義から運用までをどのような流れで進めるかは、以下の記事で解説しています。

関連記事:AI開発を外注する際の判断軸と要件定義から運用までの進め方

②必要に応じてRFIで情報収集する

自社に知見の少ない技術領域を扱う場合は、RFPを作成する前にRFIでベンダーの実績や技術動向を確認しておくと、要件の精度が上がります。

③RFPのドラフトを作成する

「RFPに必ず入れるべき項目」を参考に、各項目を記載します。最初から完璧を目指さず、まずは一通り埋めることを優先してください。

④非機能要件を整理する

機能要件だけでドラフトを終えず、非機能要件の欄を必ず設けてください。IPAの「非機能要求グレード」などのフレームワークを参考にすると、抜け漏れの確認がしやすくなります。

⑤社内でレビューする

情報システム部門だけでなく、実際にシステムを利用する事業部門や、予算を管理する部門にもレビューを依頼します。部門間で認識がずれている項目があれば、この段階で解消しておきます。

⑥ベンダーへ配布し、質疑応答の期間を設ける

RFPを配布した後は、必ず質疑応答(Q&A)の期間を設けてください。ベンダーからの質問とその回答を依頼先全社に共有することで、提案内容の前提条件を揃えることができます。

RFP作成でよくある失敗と対策

RFP作成では、以下のような失敗が起こりやすくなります。

よくある失敗 起こりやすいトラブル
予算を記載しない 提案の幅が広がりすぎて比較できない
非機能要件が抜ける 稼働後に性能・セキュリティ面の問題が発生する
現行システムの整理不足 見積の精度が下がる、後から追加費用が発生する
評価基準が曖昧 価格だけで選定してしまう、選定理由を説明できない
質問期間を設けない ベンダーが前提を誤解したまま提案書が提出される

予算を記載しない

予算のレンジすら示さないRFPでは、ベンダー側も想定する規模感をつかめず、実現性の低い提案や、逆に過大な見積を提示してしまうことがあります。厳密な金額を出せない場合でも、レンジでの提示をおすすめします。

非機能要件が抜け落ちる

機能要件は具体的に書けても、非機能要件は後回しにされがちです。当社への開発相談でも、稼働後に「アクセスが集中すると重くなる」「想定より復旧に時間がかかった」といった相談を受けることがあり、その多くは非機能要件がRFP段階で明確になっていないことが原因です。

現行システムの整理が不十分

リプレイス案件では、現行システムの仕様や連携先の整理が不十分なまま発注してしまうと、着手後に想定外の作業が発覚し、追加費用や納期遅延につながりやすくなります。可能な範囲で現行システムの仕様書やデータ構造を整理し、RFPに添付することをおすすめします。

評価基準が曖昧

評価基準を決めずに提案を集めると、結果的に価格の安さだけで選んでしまいがちです。事前に評価項目と配点を決めておくことで、価格以外の観点(実績、体制、提案内容の妥当性など)も含めた選定が可能になります。

評価項目を決める際は、開発会社の選定基準として一般的に重視される観点を参考にすると、抜け漏れを防げます。アプリ開発会社を選ぶ際の5つのポイントと評価項目は、以下の記事で紹介しています。

関連記事:アプリ開発会社を選ぶ際の5つのポイントとは?プロジェクトを成功に導く方法を紹介

質問期間を設けない

質疑応答の期間を設けないと、ベンダーごとに異なる前提で提案書が作成されてしまい、比較が難しくなります。RFP配布後には、必ず一定期間の質問受付期間を設けてください。

RFPに関するよくある質問

最後に、RFPに関するよくある質問を紹介します。

RFPとRFIの違いを一言で教えてください。

RFIは情報収集のための依頼書、RFPは具体的な提案を求めるための依頼書です。RFIで市場やベンダーの情報を集めた上でRFPを作成する流れが一般的です。

RFP作成にはどれくらいの期間がかかりますか?

プロジェクトの規模や関係部門の数によって異なりますが、現状整理から社内レビューまでを含めると、数週間程度かかるケースが多くなります。関係部門が多い場合や、非機能要件の整理に時間がかかる場合は、さらに期間を見込んでおくと安心です。

予算が確定していない場合、RFPに書かなくてもよいですか?

確定していなくても、レンジでの記載をおすすめします。予算感が全く分からないRFPは、ベンダー側が提案の規模感をつかみづらく、比較が難しい提案が集まりやすくなります。

RFPのテンプレートはありますか?

本記事で紹介した8つのカテゴリー(基本情報・背景目的・機能要件・非機能要件・スケジュール予算・提案依頼事項・選定基準・契約条件)を見出しにして整理すると、そのままRFPのフォーマットとして活用できます。

RFPの作成自体を相談することはできますか?

当社では、RFPの整理段階からのご相談を受け付けています。要件が固まっていない段階でも、現状の課題を伺いながら一緒に整理することが可能です。次の項目で詳しくご案内します。

システム開発のご相談はCLINKSへ

「開発したいシステムはあるものの、要件をどう整理すればよいか分からない」「RFPに何を書くべきか迷っている」とお悩みではありませんか。

CLINKSでは、RFPの作成前からシステム開発のご相談を承っています。契約企業600社以上のシステム開発実績をもとに、貴社の課題やご要望を伺い、状況に合った進め方をご提案します。

要件やRFPが固まっていない段階でも、まずはお気軽にご相談ください。

その他のお問い合わせはこちら

AIを活用した業務効率化やシステム開発をご検討の方は、AI受託開発サービスもご覧ください。サービス内容と開発実績をご紹介しています。

まとめ

RFP(提案依頼書)は、システム開発を外部に依頼する際に、複数のベンダーから比較可能な提案を集めるための文書です。

RFPには、プロジェクトの基本情報から、背景・目的、機能要件、非機能要件、スケジュール・予算、選定基準、契約条件まで、8つのカテゴリーの項目を盛り込むことをおすすめします。特に非機能要件と予算は、抜け落ちやすい項目のため注意が必要です。

RFPの完成度は、その後の提案の質や見積の精度、そしてプロジェクトそのものの成否に直結します。本記事で紹介した項目とステップを参考に、貴社のプロジェクトに合わせたRFPを作成してみてください。

一覧へ戻る